設計・施工管理課長
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森林を守るのは建築が果たすべき使命

2018年10月23日(火)

吉田です。

最近、日本の林業や木材産業の問題について考えることが多くあります。もっと言えば、林業-木材産業-建築業の一連の産業構造と、それに伴う社会問題について考えています。ずばり、キーワードは多段階産業構造森林の大径化です。

外材だらけの日本の住宅

森林の役目は・・・土砂の流出・崩れを抑える、水を育む、二酸化炭素を吸収し酸素を供給する、木材を供給する、野生動物の住処となる、川や海の生物を育む、など、様々あります。

従って健全な森林を維持することが重要であることは多くの方が理解されていることと思いいます。

では、その日本の森林がどうなっているのか? 多くの課題があるわけですが、その中でも私達は大径化という問題に着目しました。

原木消費量

       出典:「静岡県産材を活用する製材・加工体制の将来像」静岡県林業振興課

表は県産材の原木消費量ですが、昭和50年頃から減少し続け、最近になってようやく少し持ち直しているのがわかります。

しかし、森林を健全に維持していくには50万立米以上(静岡県の目標値)の消費が必要らしく、現状のままではその半分にも満たない状態ということです。(表は単位が千立米)。つまりどういうことかと言うと、原木が余り続け、大径化(木が大きくなる)していくことになるわけです。

森林というのは、大径化(老齢化)してくれば二酸化炭素の吸収も減り、水も吸わなくなります。高木になれば土壌に日光が注ぐこともなく、植物が減り、昆虫が減り、動物も減る。そして栄養が減り、大径化した森林が崩壊していくわけです。

従って、更なる大径化を阻止することは、その山下に住む私達にとっても重要なことなのです。

では、その大径化。単純に建築棟数が減ったからなったことかと言うと・・・それだけではないのです。

住宅建築における、外材(輸入材)と国産材の割合

        出典:「静岡県産材を活用する製材・加工体制の将来像」静岡県林業振興課

表は、住宅建築における、外材(輸入材)と国産材の割合です。

簡単に言ってしまえば、安価だから、という理由で外材が主流となり、特に梁材ではほとんどが外材となっている現状があるのです。このままでは日本の林業は立ち行かなくなり、森林も崩壊していきます。あまり知られていませんが、大きな問題ですよね。

実はこの問題、もう一つの大きな原因があります。

それが冒頭に記した多段階産業構造。

例えば1本の柱が現場に搬入されるまでには、①伐採業者(林業) ②製材業者 ③加工業者 ④建材・木材業者 ⑤建築会社 という各専門業者が多段階に構成されています。そして、その川下から川上の一連において、マーケティングやマネジメントを行う立ち位置の会社や人はいません。

つまり、何が起きているかというと、計画数値の共有がされないことによって、建築会社は欲しい寸法の材料をすぐに欲しいといい、木材業者はそのニーズに応えるべく加工・製材業者に多少のロスが出ても対処できるように更に多くの在庫をストックする。更にその流れは伐採業者にも逆流していきます。そうなると、1本の材木を購入する下には、沢山のリスクヘッジがぶら下がっており、それが価格に反映されてしまうわけです。

これが外材との価格競争で大きな弊害となっているわけです。

ということで、色々書きましたが、結論として

『全方位よしの家づくり協議会』を発足:森林を守りながら、お客様には良質な地域材の家を提供

静岡県森林組合連合会さんや、製材業者さん、加工業者さん、販売店さんと共に、『全方位よしの家づくり協議会』を発足させました。(ちょっと偉そうにプレゼンしているのが吉田)

森林を守りながら、お客様には良質な地域材の家を提供できるように。私達の新たな取組みが始まっています。

構造
自然素材
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自然素材
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Profile
施工管理課長・豊橋店店長:吉田 俊介
施工管理課長・豊橋店店長:吉田 俊介

■資格
・一級土木施工管理技士
・一般耐震技術認定者
■お客様へのメッセージ
施工管理の統括管理をしております。主に品質管理に重 点を置き各地域の現場の検査・工事計画を行っています。より長持 ちする工法を日々検証しています。

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