2023.11.03
/ デザインから考える家づくり /
私達は住まいのデザインを、”ロングライフデザイン”にしたいと考えています。
ロングライフデザイン??
あまり耳馴染みの無い言葉かも知れませんが、実は和製英語です。
”Long”=長い、”Life”=生命+デザインという事で、時代の変化にさらされても長く生き続けるデザインという意味で使われる事が多い言葉です。
私達が作っている住まい。短くても30年、50年は住み続ける=使い続けられるものです。
もし50年を超え、次の世代へと受け継がれていかれたなら、モノづくりにたずさわる者としてこれに勝る喜びはありません。
そのためには、住まいが「いつまでも愛されるデザイン」である事は必要不可欠です。
愛着の湧かない家に住むのは誰だって嫌ですよね。
では、どうしたらいいのでしょう?
上の2枚の画像を御覧下さい。
それぞれの住まいを見て、皆様はどんな印象を感じますか?
1枚目、とても大きく立派な印象のお家です。
2枚目、シンプルでコンパクトな印象のお家です。
2件ともそれぞれに魅力があり、どちらが良いとは言えません。
ただ、「いつまでも美しいと思われ、愛されるカタチ」はどちら?と考えた時、私たちは”2枚目の住まい”とお答えします。
何故か?
それは、数十年経っても愛されるデザインとは、無駄な装飾をそぎ落とした引き算のデザインだと考えているからです。
例えば、
・凹凸の多い複雑な形を避け、シンプルな形とその組合せで住まいを作る事。
・屋根も自然に単純にかけたデザインにする事。
・色使いもスタンダードな色遣いを心がけ、多くの色が主張しない様、最小限の組合せに留める事。
他にも様々なポイントがありますが、共通しているのは、シンプルで普遍的であること。これこそが流行に左右されず、50年後でも100年後でも美しいと感じられる最も大事な点だと思います。
とは言え、このシンプルである事というのはとてもとても奥深い世界なのです。
出展:WIKIPEDIA
例えば、建築界の人なら誰もが知ってるフランク・ロイド・ライト氏の名作「落水荘」。正しく時代を超えて愛されている名作中の名作です。
ですが、この建物は、色々な形が縦横無尽に突き出したデザインです。これを一見して、これがシンプル?と思うのが自然だと思います。
出展:WIKIPEDIA
しかしながら、この建物にもやはり様々なシンプルさが込められているのです。
例を挙げますと、
・全て長方形の組み合わせだけで作られている
・縦に伸びる壁は石造り、横に伸びる屋根はベージュの固まりとルールが決まっている
・壁と壁の間は全て窓、屋根と床の間も全て窓になっていて、余計な小壁が無い
・壁の石色、屋根のベージュ色、窓の赤茶色。それぞれ1色に統一され、全部合わせても3色だけ
など、外観だけでも色々なシンプルさが見て取れます。
つまり、形のルール、色遣いのルールがとてもとても絞り込まれてシンプルなのです。ですから、この建物を訪れた人々は、その形の美しさだけを存分に味わう事になるのだと思います。
私達も、名作住宅に学び、自分たちなりのロングライフデザインとその作法を表現して行きたいと思います。詳しい事は次回以降一つづつお話出来ればと思いますので、よろしくお願いいたします。
ロングライフデザインは、住まいだけではなく、身の回りにある様々なものにも同様のことが言えます。
出展:D&D APARTMENT WEBSITE
みなさんも知っているものが多いのではないでしょうか。どれも永く愛され引き継がれてきたデザインです。