2023.12.05
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これから間取りを考えようとしている方がほぼ必ず考えようとしている事に、”回遊動線”があります。そもそも回遊動線とは、家の中に行き止まりがなく、ぐるぐる回れる様になっている間取り・設計の事です。
回遊動線のメリットは、どの部屋にも最短距離で行き来出来て家事動線や生活動線が楽になる事です。
例えば、上の住まいの場合だと、洗濯物を脱衣所から出して、ランドリーで仕分けした後外干しして、そのままダイレクトにダイニングからキッチンに戻っていく動きが流れる様に進んで行きます。いちいち元いた部屋に戻っていかなくて良いので、とてもストレスフリーですね。他にも、上のプランの様に色々な回遊動線が設計されていると、生活の様々なシーンで上手に動く事が出来てとても暮らしやすいと思います。
また、回遊動線の多い住まいは、自然と視線の抜けが良い住まいになりますので、開放感があって図面で見るより広く感じる住まいになると思います。
回遊動線自体にはデメリットはありませんが、安易に設計した場合陥りがちな注意点が幾つかあります。
一つ目は、ぐるぐる回れるようにするあまり廊下だらけの家にしてしまうことです。これを防ぐ方法としては、廊下を作らず部屋同士がくっつく様にする事です。上の住まいの場合、ランドリールーム周りの回遊動線や、玄関周りの回遊動線がそうなっています。廊下面積は一切増やさずに回遊する設計の方法です。
二つ目は、リビング周りにあまり回遊動線を作らない事です。ゆっくりとくつろぐ場所のリビング付近で家族が家事の為に行き来する様では、心休まりません。何でもかんでも回遊すれば良い家では無く、人が動く場所とくつろぐ場所をはっきり分けてくつろぐ場所には生活動線が混ざらない様にする事も大事なポイントです。
回遊動線とは違う間取りの考え方に、クローバー動線というものがあります。これは建築家の飯塚豊先生が提唱している考え方で、住まいの中心から各部屋に最短距離でアクセスできるプランの考え方です。
上の図はそのクローバー動線図に部屋割りを入れた一例です。この図の様にダイニングキッチンを中心に置き、各部屋へ最短距離に行けるようにした間取りの場合、家事動線や生活動線はとても短くする事が出来ます。加えてリビングには余計な動線が混ざる事がありませんので、くつろぐ場所や活発に動く場所の色分けも割と上手くする事が出来ます。
プランの一例にしてみるとこんな形です。回遊動線はほとんどありませんが、家事動線をイメージしてもらうと効率的に動けそうではないでしょうか?
回遊動線は上手く取り入れると素晴らしいメリットがある反面、安易に設計してしまうと回遊動線だけどとても暮らしにくいという危険性ももっています。大事な事は暮らしやすい、生活しやすい動線設計の家にする事です。現代は少々言葉だけが先行し過ぎているきらいもありますが、とらわれ過ぎず自由にそして注意深くプランを練って頂ければと思います。