2023.12.05
/ Q&A /
住まいの開放感を高めるために大きな窓を入れたい、でも窓から抜ける熱も多いという事を聞くと不安になる。この様な質問は非常に多くいただきますので、お答えします。
※詳しいデータ等の解説は省略して、考え方のポイントをお伝えします。
※窓はペアガラス(アルゴンガス入)、家の断熱性能はG2程度で想定しています。
冬、南の窓から入る熱量と窓から逃げる熱量を比較した場合、入ってくる熱量の方が大きいです。ですので、南の窓は断熱性からみても大きくする事が望ましいです。しっかりと日差しを入れる住まいにして行きましょう。
ただし、以下の注意点があります。
①夏は日差しが入らない様、庇・屋根、アウターシェードなど日除けが出来る設計にする
夏の日差しは絶対にさえぎらなければいけません。例えば、幅1.6m高さ2mの窓から夏の日射が入っている場合、常に家の中でストーブを炊いているのと同じエネルギーを取り込んでいる事になります。つまりストーブを炊きながら、冷房を掛けて頑張って冷やすという状態です。近年、軒の無い住まいが流行っていますが、エネルギー的な観点で見た場合、省エネ設計とは程遠いと言わざるを得ません。
②窓前の植栽、冬場はあまり日射をさえぎらない樹種にする事
大型の常緑樹が南面の窓前にあると日射をさえぎりがちになります。夏場はとても良いですが、冬場の日射をさえぎらない様、落葉樹にするなど工夫した方が良いです。
東面、西面、北面では、逃げる熱量の方がほぼ確実に大きくなります。ですので、南面以外では窓は小さくした方が良いです。特に北面は入る熱量より逃げる熱量の方が倍以上大きくなりますので、良い景観があるといった特別な理由が無い限りは、出来るだけ小さくした方が良いと思います。
年々暑さを増す現在の日本では風を通した方が良い季節は実はあまり長くありません。夏は暑く、冬は寒いので、4〜6月、10〜11月位の期間しか窓は開けられないと思います。加えて、家族のどなたかが花粉症の場合、4〜6月も窓を開ける訳にはいきません。こうなると1年の間で窓を開けて心地良いのは秋の10月中旬〜11月上旬まで、約1ヵ月しかないと言う事になります。
従いまして、風通しの良し悪しを考えて窓の大きさを決める必要はあまり無いと言えます。