2023.12.05
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「屋根・外壁のメンテナンスコストはどのくらい?Part1」では屋根の材料別メンテナンスコストについて書きました。今回は外壁のメンテナンスコストについて書いていきます。
外壁のメンテナンスコストについては、主に2つの事を考える必要があります。
①外壁材の塗装費用
②シーリング材の打ち替え費用
出典:ニチハ HP
窯業系サイディングは現在も日本で最も多く使われている外壁材です。一般的には10〜15年毎に外壁塗装が発生し、1回当たり100万前後の費用が掛かると言われており、サイディング材そのものの耐久性は30年程度ですので、30年目以降は外壁の張替工事(200万~250万)が必要となります。加えて、外壁材の継ぎ目を埋めるシーリング材は5年毎に打ち替えが必要と言われています。
従って、窯業系サイディングのメンテナンスコストは15年目に外壁塗装(100万〜150万)、30年目に外壁張替(200万〜250万)を見込んでおくべきでしょう。又、前述の通り数年毎のシーリングの打ち替えや部分補修も必要です。
シーリング材の打ち替えは手間とコストが掛かる為、昨今はシーリング材を不要とする、シーリングレスサイデイングも開発されています。ただ、窓周りや換気部材と外壁材が当たる部分には結局シーリング材が使われる事が多いので、100%シーリングレスにはなりません。従ってサイディング材の場合、やはり数年単位でのシーリング材の検査や打ち替えは必要だと思います。
弊社では外壁材の標準を塗り壁としています。塗り壁の場合でも、再塗装は必要と考えています。塗り壁外壁には再塗装は不要と言われる事もあり、それも完全に誤りではないのですが、やはり長期に渡って安全性を保つには再塗装をほどこした方が良いと考えております。
塗り壁の再塗装は、15年毎を推奨しています。1回当たり70〜100万程度かかります。ただし、外壁材そのものの耐久性は下がりませんので、30年目の張替えは不要です。
従って、メンテナンスコストは、15年目保護塗装(70〜100万)、30年目保護塗装(70万〜100万)となります。サイディング等の様な張替工事が発生しない為、長年すみ続ける程にメンテナンスコストが低く済むという事になります。
塗り壁の外壁の場合も、窓周りや換気部材周りにはシーリング材は発生しています。そして、定期的なメンテナンスはやはり必要です。但し、塗り壁外壁の場合、シーリング材の上に塗り壁を上塗りしますので、シーリング材は紫外線に直接さらされる事がありません。従って、直接シーリング材が表面に出ている外壁材よりは長持ちする工法と言って良いと思います。
出展:高広木材HP
無垢の羽目板を外壁に張る工法もあります。こちらの良い点は、塗装が変色しても味わいとなり、必ずしも劣化している、汚れているとは思われにくい事です。
素材が天然木ですので、当然定期的な塗装が必要です。7〜10年毎に塗装した方が長持ちすると言われます。もちろん、15年程度塗装無しとしている方もおられますが、板が反ったり浮き上がったりする恐れが高まりますので、早めのメンテナンスをした方が安心だと思います。
又、羽目板外壁の場合、日の当たり方によって変色や変形度合いが大きく異なりますので、横からの日射を受けやすい西面等は特に注意が必要です。反対に北面や庇に守られた場所等はあまり大きく変化しない事が多いです。
羽目板の利点は、塗り壁と同じく素材そのものの耐久性は数十年を超えますので、全面張替え工事などは滅多に必要とならない。つまり長年使い続ける時はメンテナンスコストは低く抑える事が出来る事です。
外壁のメンテナンスコストは、材料の耐久性とシーリング材の有無によって違いがあります。初期コストはサイディングの方が低く抑える事が出来ますが、長年住み続ける事を考えた場合は、塗り壁や羽目板などの方が美観・味わい・コスト面からも良いと考えます。