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高気密高断熱住宅の吹抜け 本当のところ【アンケート結果】

当社の住宅建築は高気密高断熱が標準仕様なので、冬場でも暖房の熱が室外に逃げにくいこともあり、吹抜けを大胆に取り入れた事例が豊富です。

吹抜けは空間の解放感を感じるための効果的な設計手段ですが、その高い天井は、冷暖房時の室内の高所と低所の温度差はどうなのでしょうか。また、吹抜けのタイプによっては、音の響きや匂いが他の階でどのくらい気になるのでしょうか。

今回は、弊社のオーナー様に吹抜けによる生活への影響について伺ったアンケート結果をご報告します。

 

 

吹抜けの設置状況

吹抜けはどこにある?

今回ご回答いただいたオーナー様は43名。41名の方が吹抜けのある建物で、その内35名(85%)がリビング(リビングのみかLD、またはLDKにある)に吹抜けを設置していらっしゃいました。

変わったところでは、洗濯&室内干し専用室が吹き抜けというオーナー様もいらっしゃいます。

 

吹抜けに階段を含む?含まない?

階段を含まない吹抜けは、含む建物のちょうど1.5倍でした。

階段を含む吹抜けは、2階の廊下などともつながっている場合が多いのですが、他の部屋への音や匂いの影響に違いがあるのか?以下で見て行きましょう。

 

吹抜けを通じた音の伝わり方

下階から上階の場合

半数以上の方が、「よく聞こえる」との回答。また、「まあまあ聞こえる」と合わせると77%(33名)の方が「聞こえる」ということで、予想通りという印象です。

 

上階から下階の場合

次に反対方向の上階から下階の場合です。

 

「よく聞こえる」と「まあまあ聞こえる」合わせた割合は64.2%と6割以上を占め、「下階→上階」の76.8%には及びませんが、上階と下階での音の反響は、いずれの方向でも多くの方が「音が聞こえる」と認識されていることが分かりました。しかし、「よく聞こえる」の割合が51.2%から7.1%にぐっと下がり、「まあまあ聞こえる」割合は逆に25.6%から57.2%に増えてることから、実際の設計では、「上階→下階」よりも「下階→上階」への音の伝わりを意識することを優先するのが良いと思われます。これは、音が「さほど聞こえない」との回答の割合が、「下階→上階」では16.3%であるのに対し「上階→下階」では31%とほぼ倍となっていることも、それを裏付けていると思われます。

 

思い込みに捉われないこと

さて、下階から上階に「音が聞こえる」との回答者の建物で、階段を含んでいるかいないかの差を探ってみたところ、39%(13人)の方は階段を含んでおり、55%(18人)の方は階段を含んでいませんでした。音が伝わりにくいと思われた「階段を含まない吹抜け」のお家の方が約1.4倍も多く「音が聞こえる」と回答されたのは予想外!でした。

ここで、「吹抜けに階段を含む」お家で下階から上階に「音はさほど聞こえない」との回答数を見てみると16人中わずか3人と少数で、ここは予想通り。つまり、階段を含む吹抜けは上階と(階段で)空間的につながっているので、下階の音は上階に聞こえやすいということ。とすると、吹抜けに階段を含まない場合でも「音が聞こえる」というのは、2階の別の空間や部屋とつながっていることが考えられ、そこから下階の音が聞こえてくると推測できます。例えば、吹抜けとは別にある階段でも、上階の廊下が下階とつながった吹抜けとなっていたり、ある部屋の室内窓が吹抜けとつながっているなどです。

アンケートでは、吹抜けに上階とつながっている階段があれば上階への音が気になるかも?と考えての質問でしたが、結果は(上記の通り)予想外の内訳でした。

これから家づくりを進める上で吹抜けの音が気になる方は、吹抜けに階段があるかないかよりも、そもそも上階に音が抜けて行く様な間取りではないことをしっかりチェックすることが大切だと言うことが分かりました。

「吹抜けに『階段が無いから』音は気にならないだろう。」という思い込みは禁物ということですね。

 

次に、匂いについても聞いてみました。

吹き抜けによる、匂いの伝わり方

匂いは、基本的に下から上へ広がりやすいことと、主な匂いの発生源となるキッチンは、ほとんどの住宅で下階(2階建なら1階、3階建なら2階または1階)にあるため、下階→上階への匂いについての質問です。

匂いが届かないか気にならないとの回答がほぼ半数を占め、吹抜けを介して下階と上階がつながる空間設計の割りに、音よりははるかに影響が少ない様です。ただし、当社の内壁仕上の標準仕様が、消臭性に優れた漆喰であることも少なからず影響していると思われます。弊社での取り扱いはありませんが、一般的なビニルクロス仕上をお考えの場合は、実際の建物で確かめることも必要かと思います。

 

では、いよいよ高気密高断熱仕様の建物の真骨頂が分かる、吹抜けによる室内の温熱環境への影響です。

吹き抜けによる、家の断熱性

冬について

ご回答いただいたオーナー様は、5~10年以上前の建築も多く、現在の当社建物の断熱性能ではないこともありますが、結果は7割近いオーナー様が「冷気は気にならない」とのご回答。当時の断熱性能でも室内を快適に保てていることが分かりました。ただし、下階で冷気を感じるとのご回答も25%あり、高断熱住宅を提供する住宅建築会社としては、この事実を真摯に受止める必要があると理解しております。

 

夏について

高断熱住宅であっても、吹抜けがある空間の冷房は定番の課題です。それでも、ほぼ半数のオーナー様に「熱気が気にならない」とご回答いただけたことは、素直に嬉しく思います。しかし、「2階に熱気がこもる」と約4割のオーナー様が感じている事実も無視できない事実です。

冷えた空気は空間の低部に留まりやすく、冷気は横方向には比較的広がるものの特に上方向への拡張は難題です。ただし、吹抜けを伝って熱気を感じるのは、吹抜けとつながっている空間ですから、その空間が一定以上の時間を過ごす様な使い方をする場所なのであれば、計画の初めからエアコンを設置するというのもひとつの手です。

 

高気密高断熱住宅を探究する

ちなみに、気密性能や断熱性能を数値で表すことが当たり前となった現在、当社の建物は、次の様な高性能な気密断熱性を実現しており、現在の標準仕様での建物であれば、回答結果もさらに良くなるはずです。

 

アイジースタイルハウスの気密断熱性能

気密性(C値):0.5㎠/㎡以下

断熱性(UA値):0.46w/㎡K

※ワンポイントレクチャー
高気密高断熱と謳うための公式な基準はありませんが、一般的にはC値1.0㎠/㎡以下、UA値0.6w/㎡K以下であれば、高い気密断熱性能のある建物と言われます。

 

吹抜けを設けた理由を教えてください

さて、ここでわが家の建築で吹抜けを設けた理由を伺いました。

こちらの回答は、ほぼ想定通りでした。

冒頭で書いたように、吹抜けによる解放感、空間の拡大演出はどんな間取計画よりも強力です。その魅力を活かすために設置されたというオーナー様が最多となりました。また、吹抜けは高い外壁に窓を設けることができ、気圧差を利用した自然換気ができることもメリットで、「明るさや風通しが欲しかった」からという理由が2位なのも納得です。ただし、担当者に薦められて設置したというものが3位に入る理由というのは、私たち建築会社が注意すべき点です。吹抜けによるメリットを十分にお客様にお伝えできた上での採用なのか?を十分に確認した上で、建築計画を進めて行くことが私たちの責任だからです。

 

吹抜けを設けて良かったことは?

最後は、ずばり吹抜けの良いところをお伺いしました。

やはり、広い、明るいなどの意見が大半を占めましたが、興味深いご意見もいただけましたので、ここではそれらの回答を掲載します。どうぞ、ご参考にしてみてください。

 

吹抜けを設けて良かったこと

「布団が干せる、一階が明るい、室温が一階も二階もほぼ同じ。」

「見た目がいい!下まで降りなくても会話ができる」

「室内干しの洗濯物がすぐに乾く。家の北側も自然採光で明るい。」

「LDKのエアコンで2Fでの洗濯物も乾く。2Fから覗いてリビングの様子も分かる。」

「開放感がある。見た目が良い。1階から、2階へ声をかけやすい。」

 

いかでしたでしょうか?吹抜けは物干しやコミュニケーションにも役立つ様です。

これからわが家の建築をご計画で吹抜けをお考えでしたら、今回のアンケート結果がお役に立てれば、大変うれしいです。

 

#高気密高断熱 #吹抜け #アンケート調査

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