もし家を建てるなら
地震に対する事前対策は、まず室内の散乱防止と食事の確保という観点から行ないましょう。
今年(2024年)は、年明け1月1日に発生した能藤半島地震の最大震度7を始め、これまでに震度5以上の地震が岩手県や福島県から宮崎県まで、東北から九州にかけ広範囲に7回も発生しており、日ごろの備えと建物の耐震化は必須です。事前対策の有無が、地震発生時のケガや建物損傷の大きさ、そして、その後の暮らしに大きく影響します。普段から防災への取組みを心掛け、被害を最小限に留める様にしましょう。
家具とガラスの地震対策
まず、すぐにできる建物の地震対策として、家具の散乱によるケガや避難経路の妨害の予防とガラスの破損によるケガと室内への散乱の予防です。
家具のレイアウト工夫
家具の地震対策としては、次に掲げる「家具の固定」が思い浮かびますが、地震の大きさによっては、いくら固定しても家具が倒れる可能性は残ります。そこで「倒れてもケガや避難経路の妨害を最小限に留める。」ためには、まずレイアウトを工夫することを考えましょう。
図の様に、家具が倒れてもなるべく人のいない場所にすることや、ドアなどの出入り口を塞がない場所にしましょう。
(画像:東京消防庁HPより)
家具の固定とガラスの飛散防止
家具の固定には、突っ張り棒やプレートでのビス留めなど、図の様ないくつかの方法がありますが、大きな震度にも耐えるには、L型金具など建物の骨組みに固定できる方法がお勧めです。その場合、ビスがきちんと骨組みに留まるようにすることが重要で、骨組みの上にある壁材(一般的には石膏ボード、古い家ではベニヤなど)への留め付けは、効果がほとんどないので要注意です。また、ガラスの飛散防止にはフィルムシートの貼付けが有効です。
(画像:東京消防庁HPより)
飲料と食料の備蓄
地震が収まった後、電気、ガス、水道などのインフラが復旧するまでの数日間を過ごすための準備です。最も早く復旧する可能性の高い電気のことを考えると、最低で3日分、もう少し被害が大きい場合を考えれば1週間分程度あると良いでしょう。これ以上の期間が必要な場合、恐らく自宅での生活を再開するのは困難なほどの被害が考えられ、備蓄とは別の方法での食事の確保が必要になるでしょう。
備蓄は、次の様な区分で検討しましょう。
①必需品:まずは飲料水を確保。そして、調理する為のカセットコンロなど。
②主菜:炭水化物に偏りがちな避難生活の栄養バランスを整えます。
③主食:体を維持する基本的なエネルギー源となります。
④副菜と果物:ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素は、便秘や口内炎などを予防します。
その他にも調味料類やスナック菓子などもあると助かります。また、家族に高齢者や乳幼児、持病やアレルギーなどのある方のための備蓄やお薬を常用している場合は、これらも忘れない様にしましょう。食品以外にも災害時のケガに備え、救急セットなど食品以外の用意も一緒に検討すると良いです。
食品備蓄のコツ
準備した備蓄用の食品は、日にちが経てば傷みます。そこで、定期定な入れ替えを確実に行うために、ローリングストックをお勧めします。
とてもシンプルな方法で、一定期間が過ぎたら日常の自宅の食事で備蓄した食品を消費し、新たに補充するというスタイルを繰り返すだけです。
ローリングストックは、いざ災害が発生した時に食品の期限が切れているという不都合を予防するだけでなく、日ごろの暮らしの中で、定期的に防災への意識を思い出させてくれる大事なきっかけにもなってくれます。
建物の耐震性が大前提
ここまで、地震に備えた住宅内での対策や備蓄についてご説明してきましたが、これは、地震で自宅が倒壊や大規模損壊しないことが前提です。なぜなら、地震後も自宅で生活ができることは、何よりも心が落ち着きますし生活の復旧にも希望が持てるからです。
その為にも、木造の戸建住宅であっても耐震性の高い建物であるべきで、それには耐震等級3であることが重要な判断指標になります。
耐震等級は、現在の建築基準法を遵守して建てた建物は等級1を取得でき、基準法よりも更に厳しい条件をクリアした建物は、そのレベルによって等級2、等級3を取得できます。しかし、2016年の震度7の地震が連続発生した熊本地震など、近年では、冒頭に書いた様な大地震が頻発しており、耐震等級3以上の耐震性は必須と言えます。また、法令違反ではなくても耐震等級1や2の建物では、今後の地震に耐えられるのかという不安が残ります。
耐震等級3にも耐震強度に違いがある
この耐震等級3ですが、これにはいくつかの確認手段があり、その手段によっては実質的な耐震強度が耐震等級2と変わらないか低い場合さえあるため、注意が必要です。
詳細は、コチラの別の記事で述べていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
ここでは、耐震強度の確認手段ごとに異なる強度の順番だけ記載します。
【耐震強度の確認手段】
構造計算 > 性能表示計算 > 仕様規定
この様に、構造計算による確認手段は、その他の確認手段よりも高い建物強度の基準をクリアしなければならず、最もハードルが高くなりますが、同じ耐震等級3でもより耐震性が高い建物であることを確認できます。
これから住宅の新築をお考えであれば、耐震等級3は絶対条件と言っても過言ではありません。また、既存住宅であっても、耐震等級3相当の耐震化工事も可能な場合があるので、ご興味がありましたら、お気軽に当社までお問合せください。