もし家を建てるなら

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台風被害を軽減する木造住宅の防災知識

今回は、近年その勢力が大きくなる一方の台風に対して、大切なわが家をその被害から守るための木造住宅における防災知識をお届けします。

気象庁より、過去最大級の大型台風として警戒を呼びかけられていた今年(2024年)8月下旬の台風10号は、全国的な長期間の雨と九州地方から太平洋沿岸の関東地方までの豪雨をもたらしました。また、鹿児島県を中心とした地域では最大瞬間風速51.5m/sの暴風に見舞われ、宮崎県において発生した複数の竜巻は推定風速約65m/sで木造住宅の壁や屋根が損壊するレベルのものでした。

 

 

豪雨対策

豪雨による被害は、主に屋根や外壁にできたひび割れなどからの室内への雨水の侵入です。これは、雨漏れが室内にまで及ばない場合もあり、時間を経て室内に発生したカビや異臭で初めて被害に気付くケースもあります。

雨水の侵入対策は、これから新築する場合や建築済みに限らず、外部のシーリング(コーキングともいいます)をしっかりと行うことです。外装材のサイディングなど材料の継ぎ目には必ず隙間が出ますが、この隙間を防水性のあるペースト状の材料で密封する工事です。一般的な木造戸建住宅では、屋根裏には計画換気による通気があり、雨漏れではない多少の雨水の侵入なら時間経過とともに乾燥しますが、外壁などその他の部位からの雨水の侵入は、室内など見える箇所の浸水に対処したとしても、壁の中など見ることのできない箇所に長期間留まり続け、木製の構造材を腐食したり、カビを発生させたりする原因にもなります。

 

確実なシーリング

雨水の建物への侵入を防ぐには、確実なシーリングが必要です。その為には、シーリング材には、防水性や水密性、気密性に加え、長期に渡り外部にさらされるため耐候性も求められます。

建築工事では、以下の表の様なシーリング材があり、その種類ごとに特徴も異なります。

種類 柔軟性 耐候性 耐水性 塗装性 施工性 コスト
ウレタン系
シリコン系 ×
変性シリコン系
アクリル系

 

実際の現場では、耐候性の低さからアクリル系はあまり使われず、その他の3種が選択肢となっています。表では耐候性が△のウレタンも、紫外線からの弱さによるもので、これには塗装をすることで対策が可能です。実用性の面でウレタンとシリコンのイイとこ取りの特徴を持つ、変性シリコン系の採用が多い様ですが、建物の立地環境などによる湿気の影響も考える必要があり、各シーリング材の特徴を踏まえた選択が求められるので、やはり、専門業者に相談する方が安心です。

また、外壁のシーリングは2階の上部など高所にまで施工が必要な場合もあり、安全で確実な施工のためには、建物の外周に足場を設置する必要があります。もし、DIYで行うのであれば、脚立を使う場合でも1、2段程度までとし手の届く範囲に留めておくなど、安全に配慮してください。また、防水性を確保する施工品質が非常に重要なので、DIYでの施工は良く検討してから決めましょう。

 

屋根裏の確認

外壁と屋根の軒裏の取り合いもシーリングによる防水対策が取られますが、屋根の材料や構造的な不具合によって発生する雨漏れの場合、複雑な工事個所でもあり、雨水の侵入源の特定は難易度が高く一般の方による自己診断はほぼ無理ですので、プロに相談しましょう。

外壁と軒裏の取合いのシーリング工事外壁と軒裏の取合いのシーリング工事

 

屋根裏は、押入れなど収納空間の天井に点検口が設置されている場合が多く、一般の方でも顔だけ入れば、ある程度の状況確認はできます。もし、下の写真の様な状況を確認したら台風が来る前に、ぜひ対処しましょう。

屋根裏の雨漏れ屋根裏の雨漏れ

 

その他の対策

豪雨時の建物のその他に必要な対策としては、先に上げた屋根とバルコニーの防水対策です。台風でなくても通常の雨で、室内のどこかから雨漏りをしているのを発見したら、早急にプロの業者に調査、対応してもらい、台風が来る前に対策することが肝心です。

 

余談ですが、当社アイジースタイルハウスの外壁は、塗り壁仕上げなので外装材の継ぎ目がなく、シーリングの劣化の心配やメンテナンスが要らないので、安心です。

 

暴風対策

暴風による被害でまず挙げられるのが、屋根材の損傷です。特に、築年数の古い建物の粘土瓦やセメント瓦の屋根は下地材と緊結されていない場合が多く、強風や暴風による被害が大きくなりがちです。

90年代以降実際に発生した風力による屋根の被害の大きさから、平成12年(2000年)には国土交通省の告示1454号の基準風速が見直されたり令和4年には瓦屋根の緊結方法が見直されたりなどしています。

暴風によってめくれた屋根瓦

 

瓦屋根の緊結

近年の異常気象の常態化は、国が定める風速の基準値にも影響を及ぼしており、つい2年前に改訂された建築基準法の告示基準(昭和46年建設省告示第109号)では、瓦屋根の緊結方法が強化されています。

改正前の強風対策の概要

改正告示基準の規制対象の屋根材

瓦の緊結方法に関する基準の解説

 

窓(サッシ)の対策

国内の製造メーカーであれば、サッシ自体は風圧力の計算基準の設定と試験によるしっかりとした確認がなされ、国交省が各地域ごとに定めた基準風速に応じ、JIS基準に定めた等級耐風圧性を持っています。従って、風圧によるサッシ自体の破損はそれほど心配しなくてもよいでしょう。(詳しくはコチラから)

しかし、風による窓への被害で怖いのは、物体の飛来によるガラスの破損です。近年では、断熱性能への要求の高まりと共に、複層(ペア)ガラスの採用が普及しておりますが、通常の板ガラスが空気層を挟んで2枚になった程度では耐衝撃性はあまり期待できません。そこで、対策としては「強化ガラス」か「合わせガラス」にするという方法があります。

 

・強化ガラス

その名の通り通常の板ガラスの3~5倍の耐風圧強度を持つガラスで、万が一の破損時にもフレーク状に砕けるので、破損後の破片によるケガの防止にもなります。(参考HP)

 

・合わせガラス

2枚の板ガラスの間に合成樹脂の中間膜を挟み込んで圧着したガラスで、万が一の破損時には、中間膜が破片の飛散を抑えてくれます。また、中間膜は樹脂製であることから、人為的なガラスの破損による侵入を困難にし、防犯にも役立ちます(参考HP)

 

投石による各種ガラスの破損率
投石による各種ガラスの破損率

(出典:セントラル硝子プロダクツ株式会社様HPより)

 

・サッシごとの交換

既存建物で、今の単板ガラスを強化ガラスや合わせガラスにするのも、ガラスの厚みが枠と合わないので、サッシ自体の交換が現実的な方法です。その際は、暮らしの快適性など生活品質の向上も合わせて目指し、複層ガラスの樹脂サッシなど断熱性の高い製品を検討するのも良いでしょう。

 

・飛散防止フィルム

防災対策としてガラス強化のためにサッシごと交換するというのは、コストと工事期間を考えるとかなり大ごとです。あまりコストを掛けず期間も掛からない方法として、飛散防止フィルムを貼るというのも、効果的な手段です。施工はフィルムの貼付けだけなので比較的簡易ですが、真っすぐ貼る、空気泡を抜くなど注意を要する作業が苦手な方は、専門業者への依頼も検討しましょう。

(出典:アサヒペン様HPより)

 

その他の対策

今回は、台風時の建物の損傷による被害を抑える観点で防災知識をお伝えしましたが、実際はその他に、アンテナやバルコニーの物干竿、庭のジョウロなど、強風や暴風によって自宅や周囲に飛散して被害を拡大してしまう可能性のある物を片づけたり緊結したりするなどの対策も必要です。カーポートがある場合は、製品ごとに耐風圧強度があるので、どの程度の風速まで耐えられるのか一度確認しておくと良いでしょう。

 

気象協会の参考HP「台風の接近、上陸に備えて」

 

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