もし家を建てるなら
注文住宅を建てたいけれど何から始めたらいいのか迷っている方に向け、「注文住宅を建てるまでの流れ」をお伝えする記事の後編です。
前編ではマイホームへの「理想」を膨らませてきましたが、後編では、描いたイメージを「現実」に落とし込んでいくプロセスとして、「資金計画と土地探し」「プランニング」から「契約」「着工」に進むまでをご説明します。
目次
1.資金計画と土地探し
1.1.建築会社をしっかり頼ろう
1.2.資金計画のポイント
1.3.土地探しのポイント
2.プランニング・建築計画書をつくる
2.1.相見積もりでの比較ポイントは
2.2.含まれている費用・含まれていない費用に注意
3.仮契約・工事請負契約を結ぶ
3.1.プランをしっかり固めてから建築確認申請へ
3.2.住宅ローンの申請は建築会社の協力を得よう
3.3.契約はシビアな検討を
4.着工=建築工事のスタート
4.1.近隣あいさつ、地鎮祭、上棟式の対応
4.2.現場確認も建築会社と調整をしましょう
5.竣工・引き渡し=住宅の完成
5.1.完了審査を経て、検査済証を取得
5.2.引き渡し前の最終チェックは立ち合いで
6.流れの細部は各社各様
1.資金計画と土地探し
注文住宅の建築を実現する上で、その成功のカギを握るとも言える資金計画と土地探しについては、たくさんのポイントがあります。それぞれ、一つひとつ確認していきましょう。
1.1.建築会社をしっかり頼ろう
まず大前提ですが、建築会社をしっかりと頼ることが大切です。マイホームへの支払いが過度な負担とならないようシミュレーションをしたり、理想に合う土地を探したりするのは、多くの人にとって初めての経験となります。その点で建築会社は、豊富な知識と経験を持っています。資金計画も土地探しも家づくりにおいては大変重要ですので、建築会社にしっかりと手伝ってもらうことで無駄を省き無茶を避けることができます。
もちろん、その様に対応できるスキルのある建築会社であることは、大前提です。
1.2.資金計画のポイント
・「土地代+建物代」で考える
注文住宅の計画では、つい建物にかかる費用にばかり目がいってしまいがちですが、ここは冷静になって土地代も含めた総合的な予算で検討しましょう。まずは、現在の貯蓄額を把握し、自己資金として用意できる額を割り出します。そのうえで、毎月いくらなら無理なく返済していけるのかをもとに、住宅ローンとして借り入れる額を計算します。住みたいエリアの地価相場を調べれば、建物にかけられる費用が目安としてわかります。
この様な検討でも、建築会社の助言を受けたり、シミュレーションをしてもらったりして力を借りるようにしましょう。
・建物代=建築費+α
上記の建物代には、住宅の建築費以外にもさまざまなコストが含まれることに注意が必要です。のちのち「想定以上に高くついた…!」なんてことにならないよう、+αとなる費用を含めた総予算で資金計画を立てます。+αの代表的なものは、電気・ガス・外構工事などの付帯工事費、検査機関などへの調査・申請費、引っ越し代、新調する家具代、といった費用が挙げられます。
ここでも建築会社によっては、細かな項目を含めた計画書を出してくれるところもあります。もし、「予算」や「概算」などと記載され金額が流動的な項目がたくさんある様なら、以後の資金計画にも影響するので、しっかりとその内容を説明してもらってください。
・資金は建物引き渡しまでに準備を
マイホーム建築にかかる費用は、建物の引き渡しまでに支払うことが一般的です。住宅ローンを活用する場合も含め、必要なタイミングで支払いができるよう、あらかじめ準備をしておきましょう。
1.3.土地探しのポイント
・「広いエリア→狭いスポット」へと絞り込む
土地探しでは、おおまかに広めの範囲でエリアを定め、その後、ご自身の条件に照らし合わせながら狭いスポットに絞り込んでいくといいでしょう。まずは、「○○市」「○○区」「○○駅」「○○線沿線」などの範囲で住みたい場所を決めます。そのうえで「日々の買い物が便利な場所がいい」「最寄り駅には徒歩○○分以内で」「学校には近い方がいい」など条件に優先順位を付けつつ、具体的な土地に絞り込んでいきましょう。自治体によって子育て支援制度などの内容が異なるので、自治体の境目で土地を探す場合には、住所地がどちらになるのかということにも注意をしましょう。
・建築会社の協力を得るメリット
土地探しは、自分たちで不動産会社に依頼して進めることもできますが、建築会社に協力してもらうのが非常に有効です。資金計画のメドを立てつつ、予算的にも安心して土地探しを進められるからです。
建築会社には、普段から付き合いのある不動産会社がある場合が多いです。そのため、資金計画のシミュレーションと並行しながら、予算の範囲内で土地を探すことができます。また、その土地に希望する家を建てられるかどうかを見立ててもらいながら土地探しができるので、法的にも現実味のある計画が立てられます。
・「建築条件付き」の土地に注意
土地を探す際には「建築条件付き」という売り方の土地に注意をしてください。建築条件付きとは、その土地の販売会社が指定した建築会社でしか家を建てられず、建主には選択権が与えられていない土地のことです。相見積もりがとれなかったり、ご自身が希望する建築会社では建てられなかったりしますので、土地探しの際には確認するようにしましょう。
2.プランニング・建築計画書をつくる
続いては、建物全体や間取りを設計していくプランニングの段階です。プランニングは土地探しと並行してやっていきましょう。並行することで、実際に建てられる家のイメージを描きつつ、その土地に決めるか否かを判断できるからです。以下では、複数の建築会社に相見積もりをとる時のポイントや注意点について紹介します。
2.1.相見積もりでの比較ポイントは
複数の建築会社にプランニングを依頼して相見積もりをとる場合には、以下のような項目が比較のポイントになります。
- 間取の提案力
- 耐震性
- 断熱性
- 遮音性
- デザイン性
以上のような項目を見比べながら、自分たちの理想の家を実現してくれる建築会社を選んでいきましょう。
2.2.含まれている費用・含まれていない費用に注意
複数の建築会社から見積書や建築計画書の提示を受けたら、記載されている費用に何が含まれていて、何が含まれていないのかを確認しましょう。アフターサービスや保証制度は建築会社によって違いがありますので、表面上の金額だけでなく、内容まで確認しましょう。
また建築計画書では、土地購入費や建物請負契約のほかに必要な諸経費が含まれているかどうかを確認します。地盤改良や各種手数料、税金、自治体への支払いといった項目も、負担が大きなものになります。
ここまでの段階で、土地購入が済み、依頼する建築会社も決定しますが、提示された計画書で不明な点がないこと、金額の流動的な項目とその差額の程度を把握していることが本当に重要です。ぜひ、計画書の内容をしっかりと説明してもらってください。
3.仮契約・工事請負契約を結ぶ
依頼する建築会社が決まったら、着工に向けて仮契約・工事請負契約へと進んでいきます。この段階からは、建築会社への支払いが発生したり、住宅ローン申請の手続きが必要となったりと、実際にお金の動きが出てきます。後戻りできないということにもなりかねないので、以下の点に注意をしながら、慎重に手続きを進めていきましょう。
3.1.プランをしっかり固めてから建築確認申請へ
住宅建築のプランが完成したら、建築会社と工事請負契約を結びます。その後、プランが法令に違反していないかをチェックする建築確認申請を自治体などに提出します。申請にあたっては、その後に住宅建築の法令に関する部分の変更が生じないよう、しっかりとプランを固めてから手続きするようにしましょう。変更する内容によっては、再申請が必要になり、時間と費用が余計にかかってしまうことがあるので注意しましょう。
3.2.住宅ローンの申請は建築会社の協力を得よう
住宅ローンを利用する場合は、土地購入の意思を決めたころから事前審査(仮審査)を申請し、建物の詳細なプランニングを並行していくスケジュール感がいいでしょう。事前申請は、土地や建築会社の決定前でもできますが、依頼する建築会社の協力を得ながら進めることを強くオススメします。うかつな事前申請で、施主にとって不利な結果を招くリスクを抑えるためです。
3.3.契約はシビアな検討を
プランニングから契約に至るプロセスは、家づくりのなかでも特に慎重な検討が求められる場面です。それは、詳細なプランニングへと入る前に、ある程度まとまった金額の支払いが必要となる建築会社が圧倒的に多いからです。もし、支払い後に予算オーバーやプランが納得できないなどの状況が発生し、契約を白紙に戻したいと考えても、その時点までに支払った金額は返金されない可能性があります。契約にあたってはシビアに内容を検討し、締結するようにしましょう。
4.着工=建築工事のスタート
ここまできたら、いよいよ新築工事が始まります。着工前や工事中のイベント、現場確認などについては、事前に建築会社と打ち合わせておきましょう。
4.1.近隣あいさつ、地鎮祭、上棟式の対応
着工にあたっては、ご近所の方々にあいさつに行くのが一般的です。重機や大型車の出入りや日中の作業音など、どうしても騒音が発生するので、新生活以降の近所付き合いを円滑にするためにも一声かけておくのがよいでしょう。あいさつは、建築会社の現場監督らに任せることもできる場合もあります。
また、着工前に工事の安全祈願をする地鎮祭や、骨組み(構造体)完成後の上棟式については、必ず実施する会社や施主の希望で実施するかどうかを選択できる会社があります。建築会社によってさまざまですので、事前に確認しておくとよいでしょう。
4.2.現場確認も建築会社と調整をしましょう
建築中は工事の様子が気になるものですが、現場の職人さん達が工事をスムーズに進められる様、事前に建築会社と打ち合わせしておくことがベターです。
5.竣工・引き渡し=住宅の完成
マイホームが完成したら、新生活を始める前の最後の手続きを済ませましょう。
5.1.完了審査を経て、検査済証を取得
住宅が完成すると、所轄の自治体か民間評価機関から完了審査を受けます。着工前の建築確認申請で届け出た通りに建てられているかを確認するものです。無事に確認ができれば、検査済証を発行してもらえます。
5.2.引き渡し前の最終チェックは立ち合いで
建物の引き渡し前には、建築会社と施主の両者が立ち合って最終チェックをします。プラン通りではなかったり、何らかの不具合があったりする場合には、修正を依頼しましょう。最終確認が終われば、正式に引き渡しとなります。
6.流れの細部は各社各様
前回と今回の2本の記事で、注文住宅を建てるまでの流れを最低限注意しなければならない点に触れながらご説明してきました。しかし、実際には、お金が発生するタイミングや提出される図面、資料などの種類や品質の違いがあったり、土地探しや住宅ローンの手続きを自力でしなければならなかったりなど、建築会社ごとにその内容は違うのが現実です。だからこそ、大切な我が家の住宅建築のパートナー選びは、分からないことはとにかく聞いて、それにしっかりと応えてくれるところを選ぶことが大切です。
注文住宅に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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