もし家を建てるなら
家の中で見つけることができる微細な物質をまとめてハウスダストと呼びます。ハウスダストとは、アレルギーの原因の一つだけでなくシックハウス症候群の原因(アレルゲン)としても考えられている物質です。
特定の性質をもった化学物質とは異なり、日常生活で発生する綿ボコリを始め、花粉やカビ、生物の死骸、その糞、食べ物など多種多様です。
ハウスダストによる身体への影響は、同じアレルギー症状であっても、その原因が花粉であれば建物の給気対策が必要となり、カビであれば室内の調湿対策が必要となるなど、それぞれの原因に合った対策を講じなければなりません。
急激な体調不良を起こすことは稀なので軽視しがちですが、根本的な対策が結構面倒なのがこのハウスダストとの特徴と言えます。
1.ハウスダストとは
ハウスダストとなる物質は、挙げればキリが無いほど多岐に渡ります。
例えば、①花粉、タイヤの摩擦クズ、工場の排煙、カビ胞子、ウイルス、ダニの死骸や糞、②綿ボコリ、食べ物のクズ、人やペットの毛、フケ、煙草の煙などです。
①は、外部から侵入するもの、②は、家の中で発生するものと言えます。
2.それぞれの原因物質が占める割合
上記の物質がハウスダスト全体に占める割合は、次の様な調査結果があります。
(ダスキンHP「第1回ハウスダストとは?」より)
この調査では、繊維(綿ボコリ)が半数以上を占めていることが分かります。
綿ボコリが大半を占めるハウスダストは、アレルギー検査の結果を示す項目にもあり、ハウスダストによるアレルギー反応を示す場合、この綿ボコリから回避することは有効な対策だと言えます。
3.綿ボコリが発生する仕組み
綿ボコリを建物から発生しない様にできれば理想的ですが、常に人の出入りや着替えなどの行為が発生する住宅では現実的には不可能です。
しかし、あまり人が出入りしない場所(ほとんど開けない収納など)でも、必ずホコリが溜まって薄い膜を張った様になっているのはナゼでしょう?
それは、綿ボコリは静電気によって作られることが原因です。
なぜ、静電気?と思いますよね。
子供の頃、プラスチックの下敷きを衣服で擦って髪の毛を逆立てて下敷きにくっつけたりした経験があると思います。これは、擦ることでプラスチックの下敷きが静電気を帯び、それが髪の毛を引っ張り上げる程の力を生んだ為ですが、実は同じ仕組みが家の中でも起こることで、ホコリが発生しているのです。
静電気は、目に見えないレベルのホコリの元を電気の力で寄せ集めます。寄せ集められた微細なホコリの元が更にくっつき合って、目に見えるホコリとなるのです。
家の中でホコリが帯電する仕組みは、次の2つが考えられます。
①ホコリが天井、壁、床にぶつかることで帯電する。
(静電気ドクター(KEYENCE)HPより)
②発生元の素材(衣類など)が元々帯電していて、そこから離れた繊維ボコリは既に帯電している。
(静電気ドクター(KEYENCE)HPより)
素材の一部が離れる理由として、着替えなどで素材が動いたり擦れたりして発生する物理的な場合と、帯電した素材同士の電荷の差によって、一方の素材の一部を引き離すと言う化学的な場合があります。
また、帯電したホコリ同士も引き寄せ合い、更に大きなホコリとなって、薄いホコリの膜として目に見える様にまでなるのです。
ここで疑問が出ます。
そもそもホコリを帯電させたり、素材から一部を引き離す様な働きをする「帯電した家の部位」ってどこなんでしょうか?
・・・
それは、天井、壁、床です!
ただし、塩化ビニルなど帯電しやすい製品で仕上げられた天井、壁、床である事が条件です。
4.綿ボコリの発生は塩化ビニルが原因
現代の家造りで使用するあらゆる材料は、大半がビニルクロスなどの新建材です。
日本の新築住宅のほとんどが天井も壁もビニルクロスで仕上げ、床の仕上材である合板フローリングも、その表面は非常に薄いビニルシートに木目を印刷した製品です。
ビニルとは、一般的には塩化ビニル(PVC=ポリ塩化ビニル)を指し、建物外部では雨どいがこれに当たります。これは、学校で使う下敷きと同じ材料です。
つまり、新築住宅の天井、壁、床は帯電しやすく、帯電していないホコリは天井や壁、床に接触する事で帯電し、帯電している衣類の一部は引き離されると言う訳です。
5.対策
さて、タイトルにある通り、その対策は新築する時がチャンスです。
なぜなら、これから建てるのであれば、天井、壁、床の材料が選べますからね。
と言うことで、帯電対策の材料として、天井、壁には漆喰、床には無垢材がお勧めでーす!
と、最後は我が社の宣伝になってしまいましたが、これ、ホントにお勧めです。
ご興味がおありでしたら、ぜひ検討してみてくださいね。