もし家を建てるなら
今も、折り込み広告やポスティングチラシで見かける、「頭金0円で・・・」という言葉。
マイホーム取得において、非常に重要な要素が「資金計画」。理想の土地や住宅についての考えは巡らせられても、その前提となる資金計画については、そもそも、いつ?、何に?、いくら?必要なのかさっぱり分からず、一番頭を悩ませるテーマでもあります。
情報の洪水に溺れそうなところに、「頭金0円で・・・」なんて言葉が目に留まれば、チラシ片手にフラフラとその会社を訪ねてしまいそうです。
今回は「頭金0円」の意味を考えつつ、リスクの有無についても見ていきます。
1.本当に建てられるのか?
ネットなどでは、「頭金0円」によるマイホーム取得が可能なのか?と言う質問について、「2割程度の用意が必要」、「10万円程度から可能」、「気持ち程度で良い」、「0円でも可能」など、プロである業界の方の意見もバラバラです。
なぜ、こうなってしまうかと言うと、その「頭金」の意味の解釈に違いがあるからだと思います。
2.どこまでを「頭金」としているのか?
一定の資金が必要と言う人は、マイホーム取得に関わる全てを含んだ「総予算」をイメージしていると思います。
例えば、土地購入の仲介手数料、各種登記費用、住宅ローン手数料、水道加入金など、土地、建物以外にも発生する諸費用は、通常、住宅ローンでまかなえない為、その支払いは現金だから、ある程度の頭金は必要です、と言う考え。
一方、頭金0円でも大丈夫と言う人は、次のパターンが考えられます。
①土地購入費、住宅建築費のみに関して、住宅ローンで全額借入れできる可能性がある。
②土地購入費、住宅建築費以外に必要な諸費用は、別のローンを組めば良い。
③現金払いをしなければならないものも、親戚などから一時的に借りた後、住宅ローンの残金で返済してしまえば、実質頭金0円で済む。
と言うところで、一定の頭金が必要と言う意見から③にかけて、実現する為の条件が厳しくなって行きます。
3.考えられるリスク
一定の頭金が必要と言う意見に対しては、その金額を用意できるか否かと言う事で、自己判断できるレベルです。
リスクとしては、用途が別の自己資産がありそこから頭金として充当した場合、その金額よってマイホーム取得後の生活に及ぼす影響が予測と結果で違った時ですが、事前のシミュレーションが十分にできるので、リスクは低いと言えるでしょう。
頭金0円でも大丈夫と言う意見では
①の場合 : その他の諸費用はどうするのか?と言う疑問がすぐに浮上するので、取り返しのつかない事にはなりにくいと思います。しかし、諸費用をあまりに低く見積もった計画書を建築会社や不動産会社が出してきて、うっかり「これなら行ける!」と判断して契約した後、「こんなハズでは!?」となってしまうリスクが少しある事は、心に留めておくと良いでしょう。
②の場合 : 諸費用を組める住宅ローンの融資先が限られてしまう可能性があります。借入先の融資金利が高いと、返済が負担になるリスクがあります。また、諸費用ローンでもカバーできない項目がある場合、どうしても現金の用意が必要になると言うリスクがあります。
③の場合 : 最後の融資実行(借入金額全額が手元に入るタイミング)で頭金を0円につじつまを合わせました。と言う事です。つまり、そこに至るまでは、現金による対応が必要なので、現金はあるけど手元に残したいと言う人か、一時的に借り入れができるあてがなければ実現不可能です。
4.なぜ「頭金0円で建てられる」と言うのか?
この様に、「頭金0円でマイホームを取得する。」と言うのは全く不可能ではありませんが、リスクを受け入れる必要があります。
そのリスクは、十分に修正できる小さなものから取返しのつかないものまで様々ですが、もし、許容できるリスクであれば、マイホーム取得の夢を叶えてもらえると言うのが、業者側の考えだと言えます。
しかし、ここで大事な事があります。
それは、そのリスクをいつ、誰が、どう判断するのか?(←重要!)です。
リスクの度合いを、適切なタイミングで適切に判断するには、正確な情報が必要です。しかし、それは不動産会社、建築会社が圧倒的な量を持っており、建て主であるあなたがそれを入手する必要があります。
残念ながら、商売っ気が強い業者ほど、マイホーム取得の実現性は強調しても、それに伴うリスクの説明が不足している様に感じます。
5.それでも頭金0円での計画を考える場合
世の中は、何においても情報を持っている方が有利で、マイホーム取得計画でも同じです。
あらゆるケースを経験した業者の豊富な経験と知識が、頭金0円でもマイホーム取得の道筋を見せてくれるかも知れません。
しかし、あらゆるリスクは、最終的にはあなたが受け入れの是非を判断しなければなりません。
その時、あなたは冷静に正しい判断ができますか?もし、リスクが現実のものとなっても上手く軌道修正できますか?
頭金0円で計画を進めるのであれば、ぜひ、これらの事をしっかり考えてみてくださいね。
そして、検討したいと言うのであれば、以下の事も業者に確認してみましょう。
①頭金0円で実現できると言う資金計画で、含んでいない項目は無いか?
例)手付金、各種手数料、カーテン代、照明器具代、空調機器代、各種登記費、水道加入金、融資の保証金、土地の測量費、地盤改良費、税金、外構費など。
②資金計画に含まれない項目の支払いは、どの様な対応を考えているか?
③提案された住宅ローンは十分に安全か?
6.まとめ
頭金0円でのマイホーム取得は、「不可能ではない」事は事実ですが、リスクの調査と検討をしないのであれば積極的に進めるものではありません。
しかし、建て主の状況によっては正しくリスクを判断できれば、マイホーム取得の可能性を探る価値はあります。
そうなると、相談する業者の情報の正確性と誠実さに大きく左右されます。
そこで、上の①~③様な質問をして、見落としを無くす様にする事と業者が信用できるかの判断をする訳です。
しかし、例えば「住宅ローンが十分に安全かどうか?」は、結局業者の説明の仕方でどの様にも解釈できるので、どこまで行っても「絶対に正しい判断をする」のは困難です。
従って、頭金0円で計画を進めるのであれば、リスク」の有無と度合いについては、いくつかの業者の話しを聞いてみる。全ての業者に同じ質問をしてみる。納得が行くまで徹底的に聞いてみる。と言う姿勢がとても大切です。
#住宅建築 #頭金 #0円