もし家を建てるなら
当社は木造軸組工法に特化した住宅建築会社です。構造材は国産の無垢檜材を標準仕様としていますが、それには、そうすべき多くの理由があるからです。
軸組工法は国内木造建築の伝統的な工法で、その長い歴史から在来工法とも呼ばれ、先人の知恵と工夫を活かしつつ現代の技術によって今も進化を続けています。
歴史があり、信頼性の高いこの在来工法を国内の無垢檜材で実施しているその理由をお話ししましょう。
1.木材について
檜はもちろん木材ですので、まず木材の基礎的なことについて見ていきましょう。
1.1.樹木の種類と歴史
木材は、森林から樹木を伐採し枝を打ち払った丸太が原材料となります。
樹木は針葉樹と広葉樹の2種に大別され、それぞれには様々な樹種があります。
針葉樹は葉がとがった針の様な形で、広葉樹の葉は平たいのが特徴です。以下の樹種を見ると分かりやすいと思います。
表にはありませんが、街路樹でよく見るイチョウは平たい葉なのに針葉樹ということです。ちょっとややこしいですね。
樹木は初め、ソテツ、イチョウ、マツ、スギなどの針葉樹が約3億年前に地球上に姿を現し、広葉樹はその1億5000~2億年後に針葉樹が進化して現れたと言われています。
建築に使われる材料の中でも、これだけ古くから地球上に存在し特殊な加工もせず活用できるのは木材の他は石ぐらいでしょう。
1.2.柔軟な加工性と施工性
木材には、鉄やコンクリートと比べると、ノミやカンナ、ノコギリなど人間が素手で操れる道具で様々な形状を作り出せる素晴らしい加工性があります。
これに加え、材木同士を効率的に接合する優れた施工性も合わせ持っています。
木造住宅にも精度は求められますが、電気製品や自動車などを製造するほどの精度は不要で100mmの所が101mmだと施工できない、という事はありません。それは、木材が持つ「めり込み特性」を活かした接合が可能だからこそできる優れた施工性と言えます。
木造建築では、土台、柱、梁など材木同士の接合の際、釘、ビス、ボルトなどによって接合強度を増しますが、その接合のガイド役は昔ながらの材木加工部が担います。
この材木加工部とは、ホゾとホゾ穴のことを言い、それぞれの材の接合部分を凸と凹の形状に加工して組合せる技術です。
ホゾ加工(材木の先端の加工部がホゾ。接合するもう一方はホゾの形状に合う様に穴開け加工されます。)
このホゾは、ホゾ穴よりもやや大きめに加工します。これは、木が持つめり込み特性を活かすためです。
穴よりもやや大きめのホゾは、接合の際にホゾとホゾ穴のそれぞれが若干ひしゃげることでピッタリとはまります。そして、互いの木の復元力によって更に接合力が増すのです。
このホゾによる接合は、国内の木造建築では伝統的に受け継がれてきたもので、古くは築後1300年以上の法隆寺を始め、数百年以上の歳月を経てなお存在し続ける建築物があることからも分かる通り、非常に信頼性の高い接合技術です。
現代の住宅は、構造材が小径化していますが、震災によるデータから緻密な検証が繰り返され、時を経るごとに釘やボルト、補強金物などによる強度増強の規定が強化されてきています。
1.3.強い木材
木材の特性は、鉄骨や鉄筋コンクリートと比較して「軽くて強い」ところです。
同じ体積なら木材が軽いことに異論は無いと思いますが、強いと言うことには違和感があるかもしれませんね。
実は、同じ「重さ」で比較した場合は、木材が鉄やコンクリートに勝るのです。
材料の強度(引張強度、圧縮強度、曲げ強度)を材料の密度や比重で割った値を比強度といいます。木材はこの比強度が非常に優れているのです。
この特性は、同じ強度なら木造の建物は重量を抑えられるので、全ての部材を小さくすることができ、建物全体のコストを抑えます。また、資源の節約にもなり環境負荷の軽減にもつながります。そして、強度の割に建物が軽いということは耐震上も有利ということです。。
1.4.圧倒的な断熱性
木は断熱性能が高く、そのまま建物の室内の快適性向上と結露による建物劣化抑制に貢献します。
木(檜)、コンクリート、鉄の熱伝導率
この図の通り、木(檜)の熱伝導率を基準としてみると、コンクリートと鉄の熱伝導率はそれぞれ約15倍、約450~700倍(※)もの差があり、木は圧倒的に熱を伝えにくい材料です。
※鉄の熱伝導率は資料によりバラつきがあります。
2.無垢、檜(ヒノキ)、国産材へのこだわり
当社が構造材を国産の無垢檜材とすることにこだわる多くの理由があります。
2.1我が家で長く健康に暮らし続けて欲しいから
無垢材へのこだわりは、同じ木材製品でも集成材の様に大量の接着剤から揮発する有害物質で健康を損なわないためです。現存する歴史的木造建築物は当然ながら無垢材ですし、近代の集成材で建てられた建築物は、住宅に限らず過去に材料の剥離事故を何度も起こしています。接着剤を多用した集成材で建てる住宅では、住まい手の健康だけでなく建物の耐久性にも不安が残ります。(参考:集成材に使われる接着剤)
また、檜へのこだわりは、そこに含まれる各種成分による鎮静作用、殺菌作用、消臭作用などが人の身体と心を良好にしてくれるからです。
檜以外の一般的な構造材である杉や松は、檜と比べると部材ごとの強度のバラつきが目だったり、全体的な強度が低めだったりします。檜は総体的に部材事のバラつきがなく高い強度を示します。このことから、檜は建物を安全な構造を実現するための構造材に適していると言えます。
檜の特性については、以前コチラのブログで詳しく書いています。
2.2.国産材の自給率を上げ、日本の森林と森林業を守るため
木材の輸入材と国産材の供給量を比較した現在の木材自給率をご存知でしょうか?最新の報告では36.1%となっています。
(出典 森林・林業・木材産業の現状と課題(林野庁)より)
つまり、国産材の自給率は4割にも満たしません。2005年頃以降はほぼ順調に伸びてきていますが、戦後間もない頃の約90%だった時代には遠く及びません。
この自給率の低さは、戦後の荒廃からの復興による全国的な建築需要増加に対し国内の木材供給が追い付かず、1970年代の外材輸入の本格化によって、長期に渡り国内の林業が弱体化してきたことにあります。
林業の弱体化は、不人気な職業となり新たな人材確保を困難にし、既存の従事者は若い人の離職と高齢化が進みました。これにより、国内2505万ha(東京ドーム約532万個分!)の森林は人の手入れが行き届かない所がどんどん増え、森林は荒れる一方です。
(出典 森林・林業・木材産業の現状と課題(林野庁)より)
森林は国土の約66%を占めており、日本は木材資源自体は豊富な国と言えます。
(出典 森林・林業・木材産業の現状と課題(林野庁)より)
森林2505万haの内、約1000万haを人工林が占め、さらにその半数が樹齢50年を超え、主伐期を迎えています。これは、現在の国内の森林は、資源としてもっと活用すべき状況であること、また、循環利用に向けて計画的に再造成する時期を迎えているという事です。
(出典 森林・林業・木材産業の現状と課題(林野庁)より)
上の図の様に、本来は国内で再生可能な木材資源を有効活用するはずが、先述の理由から国内林業が弱体化し、手つかずの森林が増えてきました。世界的な流れである環境保護やサスティナブル(持続可能な循環)社会への実現にはまだまだというのが我が国の実情です。
とは言いつつ、主伐期の木材利用推進の努力が報われ始め、2005年から少しづつ自給率が回復しているのも事実です。
そこで私たちも国内林業の活性化に貢献し、その上で環境保護とサスティナブル社会を実現するため、私たちが手掛ける新築住宅の構造材には国産材を採用することにしたのです。
3.まとめ
私たちが木材、国産材、無垢材、檜材にこだわる理由について述べて参りましたが、いかがでしたでしょうか?
多くの人が「感覚的に良いと感じる。」のが木材特有の性質です。そして、どんな特性があり、何が良いのか?どう良いのか?を実際に知ることで、その感覚が正しいことが証明できます。
木材そのものの特性、無垢材の安全性、檜の強度や健康に関わる有効成分。そして、国内林業の活性化、環境保護、サスティナブル社会の実現など、私たちの取組みが誰の利益も損ねず、巡り巡って産業や社会、国、世界と言った大きな枠組みにまで良好な影響を与えることができる仕組みの中で、みなさまのお家づくりをお手伝いし続けて行ければ本当に嬉しいことです。
#国産 #無垢 #ひのき