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通気工法?直張り工法?どちらも気密断熱性が大前提

国内の木造住宅における主な外壁の工法には、外装材の裏側に通気層を設ける通気工法と設けない直張り工法があります。
通気層の有無は、木造建築物の大敵である水分(結露と湿気)をどの様に屋外へ排出するか、の考え方の違いです。
国内の木造住宅で圧倒的に使用されている外装材のサイディングには透湿性が無いことから、通気層を設けないと瑕疵担保保険に入れません。その為、自ずと通気工法の建物が多く建てられています。
どちらの工法も、気密断熱工事の精度が悪ければ建物の快適性や耐久性を著しく損なうので、どちらが優れているかと言うものではありません。

※1 サイディング:セメントを主原料とする建築外装材。現代の木造住宅建築の大半に使用されている。

通気工法?直張り工法?どちらも気密断熱性が大前提

 

 

1.通気工法と湿気排出の仕組み

通気工法は、外装材(国内では主にサイディング)の裏側に厚さ15㎜程度の空間を作り、そこを空気が下から上に向かって流れる事で、水分を外部へ排出する仕組みです。

水分の原因の一つである結露は「通気層で発生」し、室内からの湿気漏れは防水透湿シートから通気層に誘導するので、いずれの水分も通気層の換気によって乾かすという考え方です。

(通気工法)↓クリックで拡大
通気層から湿気を排出する仕組み

 

2.直張り工法は湿気排出の概念が無い!?

直張り工法の場合は、昔と今では考え方が異なるので、まずそのご説明から。

冒頭で、工法の違いは水分の排出方法の考え方の違いによるものとご説明しましたが、昔の直張り工法は、そもそも水分を排出すると言う考えは無く、通気工法とは比べようがありません。もっと言えば、昔の家づくりには水分排出の概念が無いので、何の疑いもなくほとんど全てが直張り工法で、断熱材も無く吹きっさらしの状態だった為、真冬の室内が屋外と全く変わらないほど寒い代わりに、結露も起こらず、室内の湿気も建物に留まり様が無く「水分の排出」なんて問題にならなかったのです。

(気密断熱を考慮しない昔の直張り工法)

 

そこに、1980年頃から断熱性と言う考えが加わると、急激に建物の気密断熱性が向上し、通気層の無い直張り工法では、建物のあちこちで結露や湿気漏れを起こし、建物が短期間に傷むと言う新たな問題が発生したのです。

(断熱材普及直後の直張り工法)

 

そこで、現代の直張り工法は、通気層が無い代わりに外張り断熱など結露の防止策を講じた仕組みに改良されたものになっています。

(現代の直張り工法 (一例))

 

↓アイジースタイルハウスの高気密高断熱についてはコチラから。

 

 

 

3.各工法のメリットとデメリット

いずれの工法にもメリットとデメリットがありますが、単純比較による良し悪しには意味がありません。我が家に求める性能やメンテナンス性などを考慮しながら適切な工法を選択する事が大切です。

 

3.1.通気工法のメリット

通気層の仕組みが簡単で、基本的な知識と技術で確実な施工が期待できます。

また、建物はいくら高断熱化しても結露を起こす可能性を0にはできないもので、最も結露の可能性が高い箇所は外壁の断熱材の屋外側(=外装材の裏側)です。そこに通気層を設けることで、結露や湿気漏れを確実に乾燥させられるという対策を講じているのは、住まい手としては安心感が持てます。通気層は、外装材からの雨漏れがあったとしても、建物下部から排水したり通気による乾燥ができ、通気層に設けた防水紙は、構造材や室内に雨水が侵入するのを防ぐので安心な構造と言えます。

 

3.2.通気工法のデメリット

上記のメリットが有効である為には、確実な断熱工事と高い気密性が確保されている事が大前提です。もし、気密断熱性が不十分なために通気層以外の箇所(屋根裏、外壁内など)に結露や湿気漏れを起こした場合、せっかく設けた通気層では全く機能しません。

また、火災時には、通気層が煙突効果による炎の通り道となり、災害を拡大する可能性も指摘されています。

これらは建物の寿命や住まい手の生命、財産に関わるデメリットと言えます。

細かな点では、通気層確保のための部材と手間が余分に必要とも言えます。

 

3.3.直張り工法のメリット

火災時の被害を拡大する可能性のある通気層が無いため、通気工法よりも安心できるといえます。

通気工法の様に通気層確保のための部材と手間が不要なので、その分の費用と工期を削減できます。

 

3.4.直張り工法のデメリット

外装材からの雨漏れがあった場合、その水分を排出、乾燥させる仕組みが無いので、建物のどこかに水分が侵入し建物を傷める可能性があります。

通気工法と同じく、気密断熱性が不十分で、建物のどこかで結露や湿気漏れを起こした場合、水分を排出、乾燥させることができず建物を傷める可能性があります。

 

この様に見ると、いずれの工法も良し悪しを一概には言えず、詰まるところ気密断熱性が確実に確保されていることが鍵になると言えます。

 

アイジースタイルハウスは、もともと木造建築物のメンテナンスから始まった会社で、現在はその対象のほとんどが木造住宅であり、そのメンテナンスの歴史も今年で120年です。その実績から言えば、材料や工法の選定はもちろん大切ですが、そもそも丁寧で正確な工事がなされているかどうかの方が住宅の寿命に大きな影響を及ぼす、と言うのが私たちの実際の結論です。

 

これらの事を十分に踏まえ、なぜその工法を採用し、どの様に施工し、どの様に監理しているのかを建築会社からしっかりと説明してもらい、その上でご自身で判断する事が大切だと考えています。

 

 

4.アイジースタイルハウスは直張り工法に一工夫

弊社の外壁は直張り工法を採用していますが、もちろんしっかりとした訳があります。

 

弊社の家づくりの理念は、長持ち、健康、安全、快適であり、これらを実現するための材料を選定しています。特に、長持ちという性能を実現するために、外装材をサイディングにすると言う選択肢はありませんでした。サイディングは、こちらのHPにもある通り、素材と形状の特性から必ず劣化するため、定期的なメンテナンスを欠いては建物を短期に傷めてしまうからです。

 

断熱性の高い建物ほど、室内で発生する湿気の排出にしっかりと対処する必要があります。

一般的には、室内を防湿シートで覆って気密化し、湿気が外壁内に侵入するのを防ぎつつ換気設備で強制的に排出すると言う考えです。ところが、この室内の気密化をしっかりできている住宅が非常に少なく、実際、私たちがメンテナンスでお伺いする既存の住宅は、屋根裏や外壁内に湿気が溜まっているケースを良く見かけるのです。

そこで私たちは、室内の湿気を外部へ排出するのに、人の皮膚呼吸の様に外壁自体を呼吸(つまり、透過)させる様に材料を工夫した直張り工法としている、と言うのが理由です。

 

(アイジースタイルハウスの外壁構成)

 

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5.アイジースタイルハウスが標準的な通気工法を採用しない理由

高気密高断熱住宅で、結露や室内からの湿気を解消する標準的な考えは

  1. 高断熱住宅の結露は充填断熱材の屋外側に発生する。
  2. そこには合板という木質の板が貼ってあり、これが結露することになる。
  3. 結露の水分で合板が腐朽するのを防ぐ必要がある。
  4. ならば、合板の屋外側に空気の通り道を作り、結露はその換気で乾かせば良い。

と言うことです。ここで、室内の湿気については、「換気設備で屋外で排出できている。」のが前提となります。

 

ここで、年間約2万棟もの木造建築物(ほとんどが住宅)をメンテナンスしている私たちの様な者から言わせれば、「それは理想論で、現実は違う。と言うことです。

これだけの調査量から言えるのは結露が必ずしも通気層ではなく、建物の見えない箇所で発生していたり、計画以上の湿気が建物内の見えない箇所に漏れている建物が一定の確率で発生しているという事実です。

ちなみに、この様な劣化を起こしている住宅は、断熱材が使われ始めた1980年頃から住宅に多くみられます。

 

劣化の原因である「結露」や「湿気漏れ」の効果的な対策としてたどり着いたのが、私たちの外壁工法なのです。

 

#通気工法 #直張り工法 #気密性 #断熱性 #結露

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