2023.11.03
/ デザインから考える家づくり /
いつまでも愛されるロングライフデザイン、今回は3回目という事で「窓デザイン」について書いていきます。窓については、以前も「緑とつながる暮らしってどんな感じ?Part1」や「緑とつながる暮らしってどんな感じ?Part2」で色々と書いてきましたが、今回は窓の形や並べ方をどうデザインするかについて書いていきたいと思います。
窓デザインで大事なポイントは3点あります。それは、
①水平にそろえる
②種類を減らす
③小さな余りを無くす
の3つです。凄くシンプルな事なのですが、私達ももう少し工夫出来たなと思う事も多々ありまして、日々精進のポイントです。では、ここからはポイントを1つずつ解説していきたいと思います。
まずは、2〜3枚の窓を、全部水平にそろえるという事が基本です。窓の上をそろえる事は当然ですが、窓の下も揃っているとさらに綺麗に見えてきます。反面、窓の高さがバラついていると、住まい自体もとても雑然とした印象になってしまいます。
上の写真2邸は窓の高さを揃えた上で、庇を通した事例です。こうするとより窓同士のまとまりも生まれ、スッキリとした印象になります。本来、庇は太陽の光や雨をはじく為に作るものではありますが、たくさんの窓がひとまとめに見える様になり、より洗練された住まいの顔を作る事にも一役買ってくれます。
2番目に窓デザインで考える事は、「窓の種類を減らす」です。窓の種類が多ければ多いほど、住まいの外観はごちゃごちゃした印象になりがちです。窓の種類は1〜3種類に限定すると、住まいの印象はとてもシンプルになります。例をあげてみましょう。
上の2件の住まい、道路から見える窓の種類はどちらも1〜2種しかありません。窓の種類を限定すると言われてしまうと、デザインが窮屈になると思うかも知れませんが決してそんなことはありません。前回もお話した通り、屋根のカタチ、構造から決め、その後窓のレイアウトを考えながら最後に間取りを作る事で、とても容易に美しい住まいを作る事が出来ます。
羽目板で2〜3ヶ所並んでいる窓を繋げると、一つの窓グループになり、洗練されたデザインになります。これも窓の種類・サイズがバラバラのままでは出来ない方法です。
これは上下に並んでいる窓の真ん中に羽目板を入れ、1階と2階の窓がまとめて見えるようにデザインした住まいです。横に並んでいる窓をまとめるだけでなく、縦に並んでいる窓をまとめるこんなデザインの方法もあります。
窓デザイン、最後のポイントは「小さな余りを無くす」です。
この住まいでは、窓を天井まで届かせています。普通、窓は天井まで届いておらず、少したれ壁が入っている事が多いです。しかし、この住まいでは床から天井まで全て窓で埋まる様にサイズや天井高を調整して、たれ壁が入らない様にしています。
さらに、天井を一部掘り込んでカーテンレールが隠れる様にしてありますので、カーテンレールの金物も見えず、とても美しい仕上がりとなっています。
大きな窓だけでなく、小さな窓であってもシンプルに見せる色々な方法があります。例えば、ここでは、窓の上と下に合わせて飾り棚を作っています。こうする事で、窓のまわりに見えてくる線が減ります。インテリアで見えてくる余計な線を消す事で、住まいの印象はより上質感を感じるものとなります。
ここまでは、余計な線を消すデザインの方法を解説してきましたが、本日最後の事例はあえて線をみせていくデザインの方法です。写真正面の正方形の窓、壁の中心、景色を切り取る様に作られた窓はそれ自体が絵画の額縁の様にデザインするととても印象的になります。この様なインテリアのワンポイントとなる窓は、あえて存在感を高めるデザインをしてあげる事も効果的な方法になります。
今回は住まいのロングライフデザインを目指す上で、窓をどう考えるかについて解説
させて頂きました。大事なポイントは、以下の3点です。
①水平にそろえる
②種類を減らす
③小さな余りを無くす
住まいのカタチは様々あれど、この3点はどんな住まいでも実践出来るポイントですので、自分の住まいを計画する時の参考にして頂ければと思います。