もし家を建てるなら

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住宅の日焼け!紫外線への効果的な対策は?

普段、住宅の日焼けを気にすることはあまり無いかもしれませんが、長期間床に置いてあった家具やカーペットなどを動かすと、明らかに他の箇所と色が違ってビックリすることがあります。日焼けがすぐに建物の劣化につながる訳ではありませんが、時間の経過による劣化のリスクや見た目の問題は何とかしたいところ。本記事では、住宅の日焼け対策の基本から効果的な方法までをご紹介します。適切な対策を講じ、大切なわが家の美観と性能を保ちましょう。

フローリングの日焼け

1. 住宅の日焼け対策の基本

住宅の日焼け対策は、家の見た目を美しく保ち、生活の質を向上させるために欠かせない要素です。日焼けの要因である紫外線は、外壁や床などを傷め室内の家具を劣化させます。対策としては、日よけの設置やUV(紫外線)カットフィルムの使用が挙げられます。

 

1.1. 日焼け対策が必要な理由

日焼けは、外壁の色あせやシーリング材(※1)のひび割を起こし美観を損ねるだけでなく家の価値も低下させます。また、太陽から降り注ぐ紫外線は窓ガラスを通じて室内に侵入し、家具やカーペットなどを劣化させ、床など内装材の色あせを起こします。

このような理由から、建物内外の見た目や建物性能を維持するためにも日焼け対策は行うべきです。

(※1)シーリング材:隙間の充填剤。外壁サイディングでは、そのつなぎ目に設置します。

 

1.2. 日焼け対策の主な方法

住宅の日焼け対策には、いくつかの効果的な方法がありますが、どの家でもほぼ付いているカーテンやブラインドも、室内に入り込む紫外線を弱めてくれる対策となります。今はUVカット機能付きのカーテンもあり、更に高い効果が期待できます。

一般的な日よけとしてのカーテンとブラインド一般的な日よけとしてのカーテンとブラインド

 

しかし、カーテンやブラインドでは外が見えなくなる上、室内も暗くなってしまう点が気になることもあるでしょう。その点、窓ガラスに貼るUVカットフィルム視界をさえぎることなく紫外線をカットしてくれるのでお勧めの対策です。UVカットフィルムは遮光フィルムの様な色は付いておらずほぼ透明で、紫外線をカットしながらも自然な光を取り入れられるため、室内が暗くなりません。その他の日焼け対策としては、屋外に設置するオーニングやシェードも、効果的です。

UVカットフィルムの施工
UVカットフィルムの施工(画像:ダスキンHPより)

 

 

1.3. 住宅の日焼けリスク

住宅の日焼けリスクを無視すると、様々な問題が発生します。まず、外壁や屋根の色あせや材質の劣化、外壁がサイディングであればシーリング材の劣化が目立つようになります。これにより、修繕や再塗装のコストがかさみます。また、屋根や外壁、シーリングの劣化は、雨漏りの原因にもなります

紫外線による屋根材の劣化
紫外線による屋根材の劣化

紫外線によるシーリングのひび割れ
紫外線によるシーリングのひび割れ(写真中央の縦目地部分)

 

このように、住宅の日焼けリスクは見過ごせないものです。適切な対策を講じることで、長期間美しい状態と性能の維持に努めることが大切です。

 

2. 紫外線から住宅を守る

窓ガラスから侵入する紫外線は、室内の家具や床材を劣化させる原因にもなります。物が長時間紫外線にさらされると、退色や変色など美観を損ねるだけでなく、素材自体の劣化を促進します。しっかりと紫外線をカットし、住宅全体を守りましょう。

 

2.1. UV(紫外線)カットフィルムの活用

UV(紫外線)カットフィルムは、紫外線を一定の割合で遮断することで、室内への侵入を防ぎます。これにより、家具や床材の劣化を遅らせ、美観を長期間保つことができます。

UVカットフィルムは、紫外線の遮蔽率が高いものであるほど効果的ですが、同じ遮蔽率であれば、より低価格のもので大丈夫です。極端に高い場合は、UVカットの他に遮熱機能(※2)など別の機能が付いているのかなどを確認をしましょう。また、断熱性能を謳う製品もある様ですが、空気層を含んだ製品でない限り断熱性能はほぼありませんので、注意してください。

※2 遮熱機能付きの場合、フィルムの着色を確認しましょう。室内からの視認性に関わるからです。

 

3. いろいろな日よけ

上記のUVカットシートは、工業技術を利用した日焼け対策でした。ここでは物理的な方法として、「日よけ」によるいくつかの日焼け対策をご説明します。

日よけは、太陽光を直接遮る手段で、庇やオーニング、カーテンなどの他、日本古来からの簾(すだれ)やよしずと言う方法もあります。

 

3.1. 日よけの種類と特徴

同じ日よけでも、庇やオーニングの設置はプロに依頼する様な工事が必要で、カーテンやブラインドなどは、比較的手軽に自分でも設置しやすいなどの違いがあります。手間とコスト、そして効果のバランスを考えて日よけを選びましょう。

① 庇

庇は、窓の上の外壁から水平に伸びる造作物の日よけです。また、下の写真の様に屋根の軒を大きく伸ばした庇や、1階よりも2階を張り出し、庇の役割をさせるケースもあります。日よけの長さを上手く計画すると、夏の日差しのカットと冬の日差しの取り込みを効果的に行なうことができます。しかし、実際の設置に当たっては、外壁材の切断工事が必要であったり2階の窓への設置では足場が必要になったりすることから、プロに施工を依頼することになり予算以上の工事費となる可能性があるため、十分な検討が必要です。また、庇の設置は、外観デザインにも影響することもしっかりと考慮しましょう。

夏の日差しが室内に及ぶのを防ぐ庇
夏の日差しが室内に及ぶのを防ぐ庇

 

② オーニング、アウターシェード

オーニングは、伸縮可能な庇で、建材などのメーカーから製品が出ています。造作の庇と違い伸縮できる点で、日差しの状態を見ながら自分でオーニングの出幅を調整できるところがメリットです。造作の庇ほどの大掛かりな工事ではありませんが、設置後に破損しない様、外壁内の適切な柱に取り付けることや取付箇所の防水対策も必要なので、工事はプロにお任せした方が無難です。

日差しの状態で出幅を調整できるオーニング
日差しの状態で出幅を調整できるオーニング(画像:YKK AP HPより)

 

アウターシェードもオーニングに似ていますが、オーニングの様な出幅の調整はできず、出すかしまうかのいずれかになりますが、手軽な使い勝手が利点です。シェードの下の空間はオーニングよりも限られるので、カタログなどで施工事例をしっかり確認しましょう。

シェードによる日よけ
シェードによる日よけ(画像:YKK AP HPより)

 

③ カーテン、ブラインド

窓枠にカーテンレールが付いていれば、遮光性の高いカーテンを購入して取り付けるだけなので、自分でも手軽にできます。カーテンレールが無い場合でも、窓の上端にしっかりとした木枠があれば、自分でも設置できます。ブラインドの場合、カーテンレールとは異なる取付器具が必要ですが、さほど難易度は高くなく、自分でも設置できます。。窓上端の木枠が一見無い様に見えても、壁仕上の裏側にあれば取り付けられます。しかし、部屋からの目視では木枠の有無は分からないので、設計図か建築会社に確認すると良いでしょう。

カーテンやブラインドのデメリットは、日差しを物理的に遮蔽するので、室内が暗くなるという点です。また、建物の外側にある日よけ(庇やオーニング)よりも遮熱効果が低いので、冷房機器の稼働効率が落ちます外付けのブラインドやシャッターであれば、室内側に取り付ける日よけよりも遮熱効果はもちろん高くなりますが、その分工事費がかさむので、十分に検討しましょう。

 

 

④ 簾(すだれ)、よしず

簾は、細く割った竹を寄せた日よけで、軒先などに吊るして使います。見た目が似ているよしずは、葦(あし)というイネ科の植物で作る日よけで、玄関先や窓の外側に立て掛けて使います。室内側に設置するカーテンなどと違い、建物の外側に設置する分、遮熱効果は高いと言えます。

簾は昔の日本の日よけのスタンダード簾は昔の日本の日よけのスタンダード

 

よしずは、日差しを遮りたいところに自由に立て掛けて使います。雨や風の日に飛ばされる心配はありますが、これは外壁に固定するオーニングでもたたむ必要があることを考えれば、手間と言うほどでもないでしょう。

現代でもよしずを見かけることはありますが、簾はすっかり見なくなりましたね。個人的には、日本人の知恵で自然素材を活かした簾には、情緒感が漂っており、古い家にはまだ見ることのあった昭和時代が懐かしいです。

よしずでできた日陰よしずでできた日陰

 

4. 住宅新築でできる日焼け対策

さて、これから住宅を建てるということであれば、予めできる日焼け対策があります。それは、「太陽に素直な設計」に基づく庇の設置と窓ガラスによる対策です。

 

4.1 太陽に素直な設計に基づく庇

これは、当社が手掛けている松尾式エコハウスの設計手法のひとつです。高気密高断熱住宅の性能を最大限に活かす考え方で、日射を計算して計画した庇を設置し、夏期の太陽からの日射と冬季の日射の室内への侵入をコントロールするものです。いくら日焼け対策と言っても、冬季にポカポカと温かい日射を遮ってしまうのは、健康にも経済的にももったいないですからね。庇の役目は夏の日差しのカットなのです。

太陽からの日射を計算して設置した庇太陽からの日射を計算して設置した庇

 

4.2 窓ガラスによるUVカット

実は、単層の板ガラスでも紫外線を25%程度カットできます。しかし、残りの紫外線の侵入によって日焼けが起きているので、ガラスによるUVカットには別の対策があります。

まずは、ペアガラスです。単層の板ガラス2枚の間に空気層を挟み込んだペアガラスは、これだけで紫外線を約43%もカットします。このペアガラスの屋外側のガラスの内側(ややこしい!)にLow-E(ローイー)金属膜という膜を貼ると、UVカット率はなんと76%にまで向上します。そして、最後が合わせ複層ガラスというタイプで、ペアガラスの室内側のガラスを2枚貼り合わせ、その間に中間膜を設けたもので、なんと99%以上のUVをカットします。

ガラス種の違いによるUVカットの効果

(画像:YKK AP HPより)

 

5. 無垢フローリングの日焼け

住宅の日焼けで一番気になるのは、やはり床ですよね。中でも無垢材の床はほとんどの場合、表面に幕を張る様なコーティングをせず浸透系の塗装の場合が多く、新建材(工業化製品)のフローリングよりも早く日焼けが進みがちで、短期間にカーペットなどを敷いた箇所とそうでない箇所との差がつきやすいものです。しかし、小まめにカーペットをめくったり、位置を変えたりすることで、日焼けの違いを緩和させることはできます。ただし、当社の多くのお施主様からは、「暮らしている内に気にならなくなった。」という声が多いのも事実です。無垢フローリングの日焼けが心配な方は、実際に無垢フローリングの家を訪問して自分の目で確かめたり、居住者の実感を聞いてみると良いでしょう。

 


 

ここまで、家の日焼け対策はいがでしたか?。視認性を保ちながらもっとも手軽にできる日焼け対策は、UVカットフィルムの窓ガラスへの貼付けだと思いますが、風情ある夏のわが家の風物詩として、簾やよしずで日よけするというのも日本ならではの情緒的な感性だと思います。また、計画的に日射をコントロールできる庇やオーニングの設置ができる新築住宅では、日焼け対策の選択肢は広がります。それぞれのお家の事情に合わせて、ぜひ、最適な選択をしてください。

 

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